ay

その男、凶暴につきのayのネタバレレビュー・内容・結末

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最初のシーンからゾクゾクしてしまう
コメディアンらしからぬ静謐な暴力描写に、当時の観客は度肝を抜かれたに違いない
後の作品に見られる無駄なカットや、もうそこで切っても良くない?と言ったところでカットをかけないスタイルはすでにこの頃から確立されていた なぜ歩く人を、柱を挟んで追いかけるの?など謎のカットも多数 しかしこのスタイルがキタノ映画の良さなのだ めちゃくちゃカッコいい

この作品はひたすらに武が歩いては歩くを繰り返す サティのサウンドも印象的 そして突然の暴力! '普通の街'が舞台になっているだけあってより緊張感が生まれている 日本の普通の街をここまでカッコよく描けるのは素晴らしい 橋や祭り、街中での望遠ショットも粋 そしてこの作品は光の使い方が素晴らしい 夜の街の光や、ラスト付近の倉庫のシーンは圧倒的 カッコよすぎるでしょ

今では大活躍の名優がちょこちょこ出ていて面白い 加えてこの作品は、白竜の静かな存在感によってより上質なノワールとなっている

また妹の存在も、後の作品の女性像の元となるようなものに

北野作品のエッセンスが結集した傑作 映画の常識を外すことに挑戦できたのは、コメディアンとして成功していた彼だからこそだったのかもしれな

35ミリフィルムで観られたのも良かった
ay

ay