キッチー

ブロンド少女は過激に美しくのキッチーのレビュー・感想・評価

3.4
ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督が100歳の時に作った作品。


疾走する列車の中、たまたま隣に座った老婦人に自分が恋をした少女の話をする男性マカリオ。彼の回想が続きます...

リスボンの叔父フランシスの洋品店の2階で会計士の仕事をするようになったマカリオ(リカルド・トレバ)は殺風景な事務所の窓越しから見える隣の建物の窓に姿を見せるブロンドの少女ルイザ(カタリナ・ヴァレンシュタイン)に一目惚れしてしまう。マカリオはフランシスに彼女と結婚する、と話すも反対され「結婚するならクビだ」と言われますが、ついに告白。結果、部屋から追い出され、仕事も失うことに。経済的に困窮した彼は少女を残し、単身で北アフリカのカーボベルデ(旧ポルトガル領)に渡る。

カーボベルデで成功して戻った彼は、その後、友人にお金を貸してしまい、無一文になってしまうが、彼の真摯な態度にフランシスは少女との結婚を許すのだった。
ところが、婚約指輪を買いに行く二人に思いがけないことが起こり...

途中は色々ありますが、結末はあっさりしています。ちょっと拍子抜けの感じ。でも、伏線はあったのですね。きれいに纏まっている印象。

窓越しに現れるルイザはキレイでしたが、あの団扇はそんなに美しいかな~。キスシーンといい監督独特の官能的な表現方法かもしれません。詩の朗読やハープの調べとかもあり、芸術性を意識しているように感じました。あと、ルイザの現れる窓...窓枠が額縁のようにも見え、肖像画のようでしたね。


全体的に固定したカメラの前での長回し映像が多く、見易かったですが、限られた視界に演者が現れて演技する感じが映画にしては珍しいですね。スッキリしたクリアな映像で、64分と短く、サクッと観られる作品。

この監督の作品は初めてでしたが、『アンジェリカの微笑み』も観てみたいと思いました。
キッチー

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