miumiu

アパートメント・ゼロのmiumiuのネタバレレビュー・内容・結末

アパートメント・ゼロ(1988年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

コリン祭り、20代後半のコリン・ファース主演作を鑑賞。
アパートメント「0号室」(本当は10号室だが古い物件ゆえ1の表示がとれている)の住人で経営難の名画座のオーナーでもあるエイドリアン(コリン・ファース)が、お金のためにルームメイトを募集。
同居することになったジャックとの関係性や、町で起こる連続殺人の行方を描くサイコスリラーサスペンスです。

オープニングのロケーションや音楽から「これ絶対好きなやつだ…!」と期待が高まり、ラストに向けて右肩上がりに緊張感が増していく期待通りの作品でした。
なぜ日本でDVD化されていないんだ。(切実にDVD化希望、だって観た人の感想もっと知りたい!)
映画館との親和性もかなり高そうだし、フィルムあったらどこかの名画座でぜひ上映してほしい。(できればうちの近所で!)



以下、全力でネタばらししつつ感想メモ。


若いコリンが肌つるつる髪ふわふわで30ちょい前とは思えない若さ。
神経質な役どころでもあり、常に困ったような表情や怯えた表情をしているのが可愛い。それでいて声が今の出演作と違ってめちゃ低音。耳に残る。かっこいい。ギャップ萌えとはこのことか…

エイドリアンは映画マニアで人嫌い、アパートの住人とも交わらず、唯一溺愛する母親はおそらく心の病で会話が成り立たない状態。(母親に接するときの仕草が妙に色っぽくてどきどきした。コリンさん、間違いなく狙って演じてます。)
舞台はアルゼンチンで、家の中でもスーツにネクタイ、でかけるときは傘持参の「ザ・英国紳士」な風貌の彼は明らかに浮いている。
と書くと哀れっぽいけど、「潔癖症」「偏執的」と自覚しているのに直す気も隠す気もさらさらなく、まあめんどくさい男です。

エイドリアンが一目で気に入りルームメイトに選んだジャックは、真逆の人たらし。文字通り、老若男女(そしてゲイまで)虜にしてしまう魔性の男。
でも絶対に友達になりたくないタイプのエイドリアンにも優しいし、受け入れてくれるし特別扱いしてくれるし、ある意味天使ともいえる。(しかしサイコパス疑惑あり。)

ジャックの気を惹こうとして(?)甲斐甲斐しく世話を焼いてしまうエイドリアンがめんどくさいのに可愛い。嫌がらずに受け入れて構ってあげるジャック、優しい。(しかし何度も言うがサイコパス、シリアルキラー疑惑あり。)

殺人事件にハラハラするというより、相手を独り占めしたいのに信じきれないジリジリした気持ちとか、
アパートの住人たちの「身近に犯人がいるかも?」という不安、その不安からくる行動、自分の価値観では受け入れ難いものへの反応の怖さがスリラーだった。
(そして観ていてすごく面白かった。アパートの住人たちのキャラクターも面白いのだ。)

エイドリアンの一方的な執着と見せかけて、終盤はジャックがエイドリアンに弱音を吐いたり自ら秘密を明かしたり、一筋縄ではいかない関係だった…(だからゲイっぽい映画と言われてるのね)

ラストが怖くて切なくてかなり狂っている。(褒めてる。)
サイコスリラーと言いつつ、最後まで観ると恋愛映画にも見える。(直接的な描写はない。)
そしてジャックの行動の意図やエイドリアンへの気持ちを考えると「うーん、どっち?」と解釈に迷う部分もあり、繰り返し観たくなります…
アパートメント「ゼロ」というタイトルも本当に意味深で、何度繰り返し観ることになるのやら、恐ろしい(楽しい、興味深い)映画です。

※まとまらないからたぶんまた編集します…




miumiu

miumiu