ハレルヤ

遙かなる帰郷のハレルヤのレビュー・感想・評価

遙かなる帰郷(1997年製作の映画)
3.7
アウシュヴィッツ強制収容所から奇跡の生還を果たしたプリーモ。故郷のイタリアのトリノを目指し、8ヶ月に及ぶ旅を描いた実話ドラマ。

去年に初めてのDVD化。長年見る術が限られていた本作。アマプラにもある事実を最近知って配信終了ギリギリのタイミングで鑑賞できました。

アウシュヴィッツでの地獄のような出来事を描いた作品は数あれど、「その後」を描いた作品はあまり無いと思います。本作はそこに焦点を当てていて、プリーモ・レーヴィが実際に体験した出来事を捉えている内容。

冒頭から連合軍に押されてアウシュビッツを手放す事になったドイツ軍の撤退の様子から始まり、そのスケールに圧倒されました。

そこに収容されていたプリーモ。解放されたものの、そこからどう生きればいいか。どうやって帰ればいいか。色んな人々との出会いを経て故郷トリノへの旅路を歩みます。

大戦末期とはいえまだ争いの火種が燻っている雰囲気はあり、たとえ収容所から出られたとしても命の危険は常に付き纏うもの。無惨に扱われる人もいるし、食べるものにも困る状況は当たり前。決して楽ではない道のり。

収容所にいた時に尊厳を踏み躙られるような扱いで心を失ったような状態だったプリーモが、旅を通じて心を取り戻し涙する様子が印象的。

ジョン・タトゥーロの控え目ながらも心に残る演技は本当に素晴らしかったです。正直そこまで目立った場面は無く、もっと波乱万丈な旅を想像している人にとっては「これじゃない」感があるかもしれません。でも一見の価値はある作品だと思います。
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