つるみん

推手のつるみんのレビュー・感想・評価

推手(1991年製作の映画)
4.0
【人生は煙のごとく過ぎていく。何事も定めずにいくべきだ。】

記念すべきアン・リーの長編処女作。
アン・リーの父親三部作の一作品目。

NYで息子夫婦と同居生活をし始めた凄腕太極拳の師匠であるお爺ちゃんの朱。言葉も文化も生活リズムも違う息子の嫁マーサとは喧嘩してばかりで窮屈な生活をしていた。そんな時、チャイナタウンで太極拳を教えていたら素敵な出会いが…。

控えめに言って、めちゃくちゃ面白い。
とにかくアメリカ人の息子の奥さんマーサと朱さんの生活感が違い過ぎて、その奇妙な共同生活は見ているだけでこちらは楽しいが、本人たちは限界寸前であろう(笑)
反発し合う前半から中盤。それがあるからこそ活きてくる後半の「家族の在り方」はアン・リー自身の生い立ちも関係してくるのであろうなと。

そして特に巧いなと思ったのは、太極拳の一種である推手の使い方。厨房での一幕はハリウッド的なエンタメの面白さもありつつ、マーサとアレックスが打ち解け合う推手のシーンは、夫婦生活を上手く進めていく為のノウハウをそのままリンクさせているかのような使い方をしていた。相手の意見を尊重しながら緩やかに応えていく。推手とはただ単に力任せの技ではなく、そういった技であるのだと学んだ。
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