マグルの血

アキラ AKIRAのマグルの血のレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.5
荒廃したディストピアと化した首都東京。「アキラ」を巡る巨大な陰謀と、巻き込まれてしまった健康優良不良少年達の熱きバトルの話。

うまくない一言あらすじですみません。
日本が誇るSFサイバーパンクディストピア異能アニメーションの最高傑作。金字塔です。原作は巨匠大友克洋の伝説的コミック。あまりのレベルの高さと異次元っぷりに「大友以前、大友以後」という言葉が誕生するほどの化け物的作品。私全巻もってます。


圧倒的な書き込みから繰り出される異常な情報量は映画でも健在。オリジナルストーリーとは若干異なるキャラクター像であるものの、これはこれでとんでもない熱量のこもった作品なのです。

世界観、キャラデザ、圧倒的作画センスとアニメーションが高評価を受け、世界中にフォロワーがいるのも納得の作品ですが、私が特筆したいのはやはりセリフ。名パンチラインの応酬。
最高過ぎてびっくりしますね。自分たちの中に確固たる「かっこいい」の基準がないとあんなセリフは出てこないです。「さんをつけろよデコ助野郎ぉ!」とか、咄嗟には出てこないでしょう。
日本語スラングの一番美しい形じゃないでしょうか。日本に生まれてよかった。

ストーリーの難解さが難点ですね。作っている側もどこまで把握できているのか。そもそも原作と映画ではストーリーが大きく異なっているため、ほぼパラレルワールドのようにもなっているように感じます。(ほぼ着地点は一緒ですが、アニメで適当に描かれているキャラが原作でキーマンになっていたりします。)
別物として楽しむには少々もったいないですが、ストーリーを補完し、楽しむという一点においては、どちらにも触れておいて損は絶対にないです。

ディストピアな世界観のハシりであり、後続が後を絶たない大名作。スピルバーグは自身の映画に金田のバイクを登場させ、ジョーダン·ピールの「NOPE」ではオマージュしたアクションシーンが。ストレンジャー·シングスも強く影響受けているとかいないとか。

エヴァやナウシカの世界観が好きな人は絶対抑えた方がいいと思います。ぜひぜひ。

最後に、私が大好きなセリフをひとつ。

山形「心にやましいことがあるからそうやっていつもビクビクしてるんだよォ!」
マグルの血

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