人が人を裁くということを考えさせられる映画だった。
ハンナは、罪の意識を持っていなかったのかというと、そうではない。罪の意識を抱えていたからこそ、教会で泣いていたのだ。
裁判では、裁かれる者が必要だった。他に訴えられていた女性達が弁護士を携えて法廷に挑んでいたのに対し、ハンナは丸腰。ただ裁判官の質問に正直に答えただけ。たった一つだけどうしても明かさない秘密があって、それだけは守った。でもそれこそがハンナを不利な立場に追い込んだ。まんまと裁かれる者となってしまった。
かといって、ハンナ1人が裁かれてそれでいいという話ではない。
問題は、それぞれが罪の意識をもって、その後の行動にどう反映させるかだと思う。
戦争では、個人よりも集団が優先されるので、罪の意識の所在が分かりづらくなってしまう。
ハンナは刑務所の中で、自分自身の罪の意識と向き合ったのだと思う。
マイケルもまた、弁護士という立場から、ハンナをどう自分の中におさめるかを悩み続けていったのだろう。果たして我々はハンナを裁けるのかと。
テーマがとっても難しく残酷なため、序盤のハンナとマイケルのロマンスがより美しく悲しく際立つ。
大きなテーマを投げかける原作の素晴らしさと、役者さんの素晴らしい演技がとても気に入っている。