KnightsofOdessa

タレンタイム〜優しい歌のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.0
[]

傑作。ヤスミン・アフマド長編六作目にして遺作。四の五の言わずにヤスミンを観よ、と言われてから早五年、やっと観ました(すいません)。タレンタイムという音楽コンクールを巡る群像劇ということで、参加する様々な人種的宗教的背景を持つ生徒たちを描いている。上映後トークショーに登壇した山本氏の言葉をそのまま借りると、ヤスミンの作品は様々な言語の入り乱れるマレーシアの現実を描きながら、本当の意味で"言語が入り乱れる"という理想を描いている。同じ人物との会話の中でもいろんな言語に切り替わったり、単語が重複してたり、それでも相手も聞き取れている。すごい社会だ。そんなすごい社会でも人種的宗教的偏見は断絶として彼らの前に広がってるが、他者を思う気持ちはその断絶を軽々と飛び越えられるのだ、と。理想という意味では三姉妹の実家の安定感も忘れ難い!鬼越トマホークすぎる父親の絶妙な距離感よ。終盤はガチファンによる早すぎる啜り泣きの合唱に若干引いてしまったが、すぐに無事仲間入りを果たした。ということで、四の五の言わずにヤスミンを観よ!(五年越しに言う側に回る)
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa