イチロヲ

パイレーツ・ロックのイチロヲのレビュー・感想・評価

パイレーツ・ロック(2009年製作の映画)
3.5
航行中の船を拠点にしているロック専門の違法ラジオ局が、政府による取り締まりをかわしながら、多くのリスナーを鼓舞させていく。「海賊ラジオ放送局 対 イギリス政府」のイタチごっこを描いている、ヒューマン・ドラマ。

60年代後期の英国ロック創世記を背景にして、局内に招待された18歳の少年が、通過儀礼を体験していく。抑圧からの解放を目指す人間たちの青春ドラマという印象が強く、ラジオ局の成功と存続に関連するカタルシスは弱い。

政府との対立では「新しいことをやろうとすると、それをつぶそうとする有力者が必ず現れる」の法則が発動。そして、ラジオ局内部では「ロックを推進している者たちが、ロックンロール精神に翻弄させられる」というモチーフが働いている。

局内のメンバーがあまりにもキラキラと輝いており、ロマンティシズムに寄り過ぎている感があるけれども、「自分らしさ」を発揮することができる、唯一の居場所を見つけたときの高揚感が、瑞々しく描写されている。
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