停滞

ママと娼婦の停滞のレビュー・感想・評価

ママと娼婦(1973年製作の映画)
4.2
無為な男の倦怠、会話劇。
会話劇のくせに会話は対して代わり映えするわけでもなく、空間はアパートの一室かカフェの二択ぐらいで、画で語ろうともしない。人間の視界に近い50mmでの撮影。
劇的なことは何も起こらない。現実も実は大したことが起こっていないが、人間が出来事を解釈し、それを自らの中で反芻し、大したことへと仕立て上げている。それをこの映画では220分の長尺で変化を導かずママと娼婦というテーマを積層させることで現実を異化したと考えた。
インタビューによれば「セリフに関しては、コンマの位置一つでも変えることを許しませんでした。」とのこと。そして、セリフは話のモデルとなった会話を録音したものから起こされている。その厳格さ、解釈を極力削いでの現実の模倣、長尺がこの異質さを生んでいるのでしょうか。
正直この映画はメカニズムが全然わからない。

ある程度尺が長い映画は深いところまで、より遠くまで達しうるんだろうなぁと。
停滞

停滞