1956年、川島雄三監督作品。
何気に観始めた作品だが、これがよかった。
主役は日活時代の三橋達也と新珠三千代。
定職もなくふらふらしている腐れ縁の義治と蔦枝。ようやく蔦枝は「洲崎パラダイス」の手前の飲み屋、義治は蕎麦屋で働くことになる、、、。
優柔不断な義治と擦れっ枯らしの蔦枝に扮した三橋達也と新珠三千代が抜群にいい。ふたりとも決して品行方正ではなくとても人間臭い役をリアルに演じている。代表作と言ってもいい演技だ。
轟夕起子も亭主が家出しながらも子供を育てるたくましいい飲み屋の女将を巧みに演じている。
河津清三郎演じるエネルギッシュなスケベ親父のラジオ商、小沢昭一演じる陽気な蕎麦屋の出前持ち、芦川いづみ演じる可憐な蕎麦屋の店員など、登場人物がみんな生身の人間と描かれていて作品全体が猥雑な活力に満ちている。
監督本人が気に入っている作品ということがよく分かる。