赤線地帯「洲崎パラダイス」へ渡る橋の手前にある一杯飲み屋「千草」に、ある日駆け落ちしてきた男女がたどり着く
あちらとこちらの世界の境界に位置する千草は
お金で女を囲おうとする男
あちらの世界から抜け出したい若い女
それを手助けしようとする若い男
一旦抜け出たのに戻ってきた中年女
など様々な人間の様々な想いが交錯する人生の交差点のよう
ここで人は一旦立ち止まる
千草のおかげで駆け落ちしてきた女は橋を渡らずに済んだ
女将さんはこうして店にやってくる訳ありの人たちの話を聞いて世話を引き受けるし家族を裏切って出て行った夫も優しく迎え入れる
なんて度量が大きい人なんだろう
駆け落ちしてきた男と女はここにいる間何一つ成長することなくここから去って行く
愛情じゃなくただの情だけで繋がっている二人は多分この先もずっと離れられないんだろうな
男と女なんてこんなものかもしれない
今作は(一方的で支援が不十分だった)売春防止法が施行される直前の話
そんな時代にたくましく生きていた人たちをユーモアを混えて描いている
今では見られなくなった東京のリアルな風景と風俗がこうして映像で観られるのはとても貴重で面白かった