映画鑑賞にはある一定のメンタル耐性が必要だと私は思っている。
この作品はその耐性を強いられるストレスフルな作品でもある。
ひとりの死刑囚とカトリックのシスターとの心の交流。
ショーン・ペンとスーザン・サランドンの魂削りあう演技。
監督は「ショーシャンクの空に」主演のティム・ロビンスだ。
この重い作品の主演に彼は妻、スーザン・サランドンを選んだ。
若いカップルを殺めた死刑囚の、死への絶望的な恐怖。
肉親を殺された遺族たちの決して癒されない苦しみ。
社会から冷たい目で苦しむ死刑囚の家族。
そこを公平に描きつつ、どう接すればいいか葛藤するシスターと死刑囚の心の変化がテーマだ。
死刑執行までの時間は刻々と過ぎていく。
彼女の人並みならぬ勇気と愛によって、死刑囚の魂が長い時間をかけて、動き始める。
ラストシーンでみせるショーン・ペンの表情に震える。
彼の表情が訴えかけてくるもの、人間の本質とは何なのか。
そんな問いが心の奥底で揺れ続けていた。