天豆てんまめQOne

デッドマン・ウォーキングの天豆てんまめQOneのレビュー・感想・評価

デッドマン・ウォーキング(1995年製作の映画)
3.9
映画鑑賞にはある一定のメンタル耐性が必要だと私は思っている。

この作品はその耐性を強いられるストレスフルな作品でもある。

ひとりの死刑囚とカトリックのシスターとの心の交流。

ショーン・ペンとスーザン・サランドンの魂削りあう演技。

監督は「ショーシャンクの空に」主演のティム・ロビンスだ。

この重い作品の主演に彼は妻、スーザン・サランドンを選んだ。

若いカップルを殺めた死刑囚の、死への絶望的な恐怖。

肉親を殺された遺族たちの決して癒されない苦しみ。

社会から冷たい目で苦しむ死刑囚の家族。

そこを公平に描きつつ、どう接すればいいか葛藤するシスターと死刑囚の心の変化がテーマだ。

死刑執行までの時間は刻々と過ぎていく。

彼女の人並みならぬ勇気と愛によって、死刑囚の魂が長い時間をかけて、動き始める。

ラストシーンでみせるショーン・ペンの表情に震える。

彼の表情が訴えかけてくるもの、人間の本質とは何なのか。

そんな問いが心の奥底で揺れ続けていた。