【1976年キネマ旬報外国映画ベストテン 第8位】
テレビ映画として製作されたフェリーニ監督作品。ヴェネツィア映画祭に出品され最優秀イタリア映画賞を受賞、NBRで外国語映画賞を受賞した。
道化師についての映画をつくる映画監督をフェリーニ自身が演じている。劇映画とドキュメンタリーを折衷したような変わった作品。
フェリーニの作品はあまり気に入ったことがなかったけど、これはよかった。あまりに濃すぎて胸焼けがするのがいやだったけど、本作はドキュメンタリータッチが良い効果を生んでいた。
幼い頃のおそらくフェリーニ自身の体験から始まり、各地のサーカス文化を撮っていく。
フェリーニが最初にみたとき、道化師が怖かった。そしてそんなに特別なものには思えなかった。なぜなら現実にも同じような人がいるからだ。酒飲み、知能が遅れ厄介者扱いされている者、笑われている者…
ドキュメンタリー風に進んでいく中でフェリーニが思い出す道化師を描いていく。
賞賛するでも哀れむのでもない。ノスタルジックな思い出としての道化師たち。彼らに対する愛情を静かに表現している。
道化師たちの笑いと哀愁、そうしたものを愛情を込めて描いている。小品ではあるが、フェリーニ作品の中では一番ストレートでみやすかった。道化師たちの芸も魅力的に映していて楽しい。