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フェリーニの道化師のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

フェリーニの道化師(1970年製作の映画)
3.8
フェリーニが子供のころにワクワクして観に行ったサーカス。しかし、白塗りの道化師に怯えてしまいます。そのフェリーニがヨーロッパの道化師の歴史を辿り、かつての道化師たちを訪ねていきます。老いた道化師たちが、昔を語り、ステージで道化る、ただそれだけなのに、むしょうにノスタルジーと哀愁を感じました。

白塗りの道化師ってピエロじゃないの?と思っていたら、大きな赤鼻ではない、豪華な衣裳を身につけた笑わないクラウンがいました。クラウンにはいくつか種類があって、ピエロもクラウンの一種ですが、白塗りはホワイトフェイスといい、ステージを仕切っているらしい道化師。これは怖いわー。笑っていても近くでは怖いのに。

サーカスのテント内ならそんなに近くでは見られないのに、サーカスの前に住んでいたフェリーニ少年はどうも間近で見ちゃったらしく、映画もわりと寄った画像で、照明もあまり明るくなく、恐怖とまではいかないけれど、怪しげな雰囲気や落ち着かないカオスの感じがよく出ていました。動かない表情は怖い。

フェリーニと共に旅する撮影隊の中に、終始カメラ目線の音声係や、慰問団が訪ねる(再現フィルムの)刑務所や精神病院の中にもカメラ目線の囚人や患者たち(みんな役者)がいて、視線が交錯する作りがおもしろかったです。

消えゆく道化師を記録と記憶に残そうとした作品。ヨーロッパの文化でした。
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