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マッチ工場の少女のgyaugyauのレビュー・感想・評価

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.9
アキの作品はとにかく引き算、引き算。そこにあったのは確かな殺意だけ。ああ、ままならない。でも小気味いい。

「天安門事件」が執拗なまでに取り上げられている。アキが作品をつくる原動力はやはり世の中の不条理への憎しみから来ているのだろうか。そうなると彼の作品を字義どおり「心待ち」にはできないね。

アキの作品といえば「相棒」「バディ」だが、大抵それは男同士のホモソーシャル。しかし、イリス(≒女性)はそんな「絆」からをも拒絶される。子どものころに愛されなかったイリスは人との「つながり」を可視的に・物理的に捉えようとした。見えていないと不安だから。しかし、その束の間のわかりやすい「つながり」はあまりにも脆弱だった。(勝手に)裏切られる。孤独、再び。それゆえに自由で強いのだろうがね。彼女らは傷を舐め合うことなく、2本の足だけで立ち・歩く。しかないのだ。見事なまでに清々しい。
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