Angeprunelle

マッチ工場の少女のAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

血の気がなくひんやり冷たい生活音。

ベルトコンベアのように流れるだけの日々。

ハーフグラスがグラス大になっても埋められない虚無感。

ピンクのヘアゴムの少女は囚人のような生活。
ピンクのヘアゴムを外した少女は
どこにでも居る夢見る少女。

マッチ工場で働く少女がマッチを擦りはじめてからの
静かで清々しい破壊力。

薬局での会話 「素敵♡」

少女の口から出た一番美しくて一番正直で
一番狂気な言葉。

マッチはいつも使い捨て。
火が灯るのはほんの一瞬。

彼女がマッチで灯す火は歓喜の灯火ではなく憤怒の灯火。

それは有害なタバコの煙と相まって自分自身の
幸福の園に行く夢さえ根こそぎ奪い去るという皮肉。

無機質で非情な世界で生きる少女の
報われないありのままの人生。

音や人、物など全てが引き立つ引き算の演出が
本作も輝いてました♡
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