このレビューはネタバレを含みます
血の気がなくひんやり冷たい生活音。
ベルトコンベアのように流れるだけの日々。
ハーフグラスがグラス大になっても埋められない虚無感。
ピンクのヘアゴムの少女は囚人のような生活。
ピンクのヘアゴムを外した少女は
どこにでも居る夢見る少女。
マッチ工場で働く少女がマッチを擦りはじめてからの
静かで清々しい破壊力。
薬局での会話 「素敵♡」
少女の口から出た一番美しくて一番正直で
一番狂気な言葉。
マッチはいつも使い捨て。
火が灯るのはほんの一瞬。
彼女がマッチで灯す火は歓喜の灯火ではなく憤怒の灯火。
それは有害なタバコの煙と相まって自分自身の
幸福の園に行く夢さえ根こそぎ奪い去るという皮肉。
無機質で非情な世界で生きる少女の
報われないありのままの人生。
音や人、物など全てが引き立つ引き算の演出が
本作も輝いてました♡