くらげ

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語のくらげのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ひたすら沿線の景色が美しい。
世界の車窓からも青褪めるような日本の原風景の数々に心癒されました。

転職を決意する瞬間の描写がBGM任せなのが残念。
元来人が良かった中井貴一も変化が唐突過ぎて勿体無かったな。
もっと繊細でグラデーションのある演技をなさる俳優さんなのに。
思いの外、序盤にタイトル部分が達成されたので中盤以降どうなることかと思いきや。
あんなに殺伐と始まった映画なのに、お世話になった乗客の皆さん集合からの嘆願は流石に笑ってしまった。

何より高島礼子と本仮屋ユイカの演技がどうしても環境から浮いている。
就職についての教育ビデオかな?ってくらい陳腐さが出る。
家族3人の、実際にはきちんと絆がある、という解釈がバラバラなのか、やり取りから伺い知れない。
キュウリ畑のメタ視点みたいな突き放したカメラワークからいちいち説明する気が無いのは伝わるものの(多分何も考えてない思い付きのカメラワーク)、心の機微を丁寧に描くのが骨子じゃないの?と取り残された気分。

そこを一本柱で貫く奈良岡朋子さんの演技の素晴らしいこと素晴らしいこと。
彼女そのものが実家であり家屋であり故郷であり土地そのものであることが、ただ佇んで方言で呟くように喋るだけで伝わってくる。
最早、素なのでは?と思うくらい自然体。
これが大女優の仕事!!
妻の高島礼子との絡みをもっと見せても良かったのに〜。
思えば一方的におばあちゃんっ子なだけで当の娘との絡みがほとんど無かった。
家族を繋ぐファクターだったのに、どうして?

遠憲さん始め、甲本さんやら佐野史郎さん、宮崎美子さん、渡辺哲さんのエネルギーが良かった。
彼らなしには得られない没入感。

あれこれ抜けてるのに、野球ボーイと介護に興味持っちゃった娘が恋に落ちる蛇足が描かれなくて幸い。
くらげ

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