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オペレッタ狸御殿のAZのレビュー・感想・評価

オペレッタ狸御殿(2004年製作の映画)
3.3
鈴木清順の遺作。ストーリーは単純明快。人と狸の恋物語。それを清順ワールド全開で表現する。この人がすごいのは、自分が見聞きしてきた過去の文化だけでなく、現代の文化も作品に取り入れようとするところ。CGも多用する。積極的に新しいことを表現に入れようとする姿勢は見習いたい。ただ、ちょっと演出的にくどいと感じるシーンがちらほら。ほぼ屋内撮影だとセットへかける予算の問題で安っぽい感じに見えてしまう。それでも何だか楽しい映画だった。

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がらさ城の実の父、安土桃山から殺されようとしている雨千代と、狸御殿の狸姫が出会い恋をする話。2人が恋をしたことで狸姫も安土桃山の標的になってしまう。

全体的に屋内撮影なのでセットの中で物語が描かれるが、ほぼ演劇・歌舞伎を見ているような感覚。演出も。日本人ウケは難しいかも知れないが海外の人には嬉しい映画になっていると思う。オペレッタとは小さなオペラと言う意味らしいが。

演出面ではまだ歌や踊りで表現されている部分は優しい方。なんじゃこりゃ、今何起きたの?という抽象的な表現など、感覚で理解しないといけない部分が多い。

だが、鈴木清順好きなら監督っぽいなで許せてしまうだろう。

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改めて思ったが、鈴木清順監督はお茶目だなと。シンプルなストーリーだからこ抽象度を高めな演出も許容できたし、その中でクスッと笑えるシーンも多い。映画を楽しんで撮られているのが伝わってきた。ただ、作品としては一回見れば十分かなというものだった。深い意味なんておそらくないし、考えても意味ないだろう。鈴木清順作品なのだから。

チャン・ツィイーは異国の地でこの役を演じてくれて感謝したい。とても良かった。ただ、オダギリ・ジョーが顔がいいだけで弱く感じてしまった。
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