ミシンそば

愛おしき隣人のミシンそばのレビュー・感想・評価

愛おしき隣人(2007年製作の映画)
3.6
ロイ・アンダーソン二作目。
不条理はまあ当然として、今回は姉妹作の「散歩する惑星」ほど狂気の振り切れ方をしていないな、と個人的に感じた。

テーマがやけに分かりやすい。
利己的で視野の狭い現代人への風刺が全編に渡って(取り留めのない群像劇でコーティングした状態で)溢れていた。
作中の床屋同様、アンダーソンが自身の溜飲を下げるためにやったのかなってどうしても思ってしまう台詞や展開も割りと多い。

それから夢だから何してもええやろ的展開は、どちらもこの映画の見所と言っていい完成度。
バカでダークで、無駄に金かかってる(アンダーソン組の想像力の賜物)。
テーブルクロス失敗で死刑は前述の現代批判をストレートに示しているが、ロックスターと結婚して動くアパートで街を廻るくだりは凄いバカ展開で、「あ、こういう引き出しアンダーソン持ってるんだ!」ってなった。

アンダーソン作品にしては変で冷たい突き放しも少ないなと思ってたが、ラスト。
あの編隊飛行はやっぱりそう言うことなのね。
(でも英語版Wikipedia曰くそれまた夢だったようだ)