ジャイロ

アッシリアの遠征/ベッスリアの女王のジャイロのレビュー・感想・評価

3.2
それは『アッシリアの遠征』なのか、はたまた『ベッスリアの女王』なのか。むしろ『ベッスリアのユディト』ではないのか?と少し思ったりもしながらも、今年最後の映画鑑賞になりました。

旧約聖書外典のひとつである「ユディト記」

「アッシリアの王ネブカドネザルは、メディア王との戦いにおいて自分に協力しなかった諸民族を攻撃するため、司令官ホロフェルネスを派遣した。ホロフェルネスは軍勢を率いてユダヤへやってくるとベトリアという町を囲んだ…」

なるほど古代メソポタミアの戦争の話ですね。

そのベトリアの城壁は、50キュビトもの厚さを誇ります。つまり肘50個分の厚さ。相当な壁。真鍮の扉も堅固だし、ホロフェルネスの軍勢もあっという間に攻めあぐねてしまいます。

しかしこの城塞、井戸がなぜか壁の外にあるという致命的な欠点があり、いとも簡単に窮地に追い込まれるのです。ホロフェルネス軍に包囲され、水と食料を絶たれた街は、渇きと餓えで滅亡待ったなし。だからもっと前に井戸なんとかしようよそこは…

起死回生の作戦を決行するのはリリアン・ギッシュでもドロシー・ギッシュでもなく、ブランチ・スウィート演じる主人公ユディトになります。

大掛かりなセットで人数もすごいし、戦闘シーンなんか『イントレランス』を彷彿させる迫力だけど、そこまでスケールは大きくない。それでもユディトの迷いや、勇気、決死の作戦が描かれていて、DWグリフィス初の長編作品として、ちゃんと映画してました。