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サンゲリアのKEiGOのレビュー・感想・評価

サンゲリア(1979年製作の映画)
3.3
#奇妙なホラー映画論 マラソン!
とにかくゾンビが気持ち悪い!『ゾンビ』や『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は日常の延長線上にゾンビがいました。彼らはゾンビになって間も無く、ゾンビ達は人間だった頃のキャラクターを想起させるような見た目をしています。これに反して『サンゲリア』のゾンビはとにかく気持ち悪い!身体の欠損はもちろん、全体的に腐敗しており、蛆虫やよく分からない線虫がうじゃうじゃたかった奴までいる始末。完全にその見た目で観客を怖がらせようとしてきます。流石にコンキスタドールの死体はもう腐敗しきってて、動くパワーはないんじゃあないかと思いますが、そんな野暮をツッコむ余裕なんて与えてくれません。とにかく数と力で襲い掛かるゾンビになす術もなく。「志村、後ろ!後ろ!」と何度言いかけたか…笑
この“気持ち悪さ“への特化について荒木先生は“この作品はルチオ・フルチが人体破壊と痛みとを表現することにこだわり抜いた、ゾンビ版スプラッタ・ホラーとするのが正解かもしれません“と述べています[1]。ま、もちろんこれは裏返しとしての表現な訳ですが、ここまでやられるともう天晴れという感じですね。
映画史に残るあの“眼のシーン“もさることながら、オチも秀逸で良かったですね。

目を背けたくなるグロさって程ではなかったかな。
でも気持ちいい作品ではないので、観るのにはそれなりの覚悟と耐性はいるかもしれません…。

参照
[1] 荒木飛呂彦, “荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論“, p36, 集英社
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