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風の中の子供のzhenli13のレビュー・感想・評価

風の中の子供(1937年製作の映画)
4.4
これも素晴らしかった。号泣した。
固定ロングショットの距離感。会いたい、泣きたい、帰りたい。子どもたちや母や父の焦がれる気持ちが、この距離感と身体で表される。科白ではない。
横方向の移動ショットや固定ショットの中、高い木の上に登る子どもたちの姿だけが縦方向へ追われる。これも、遠くに居る父へ、母と兄へ、高く高くちいさな思いを届かせようとする。

印象的な前後パースペクティブ構図により、子どもたちが群れをなして走る後ろ姿が多く映される。ターザンの声真似によりだんだん増えていく子どもたちの姿は何か別の生きものみたいに見える。
思いっきり走れるっていいなーと思った。
並木道の真ん中を歩く親子のショットも、前後のパースペクティブだ。これは『エル・スール』ではないか。『お引越し』ではないか。素晴らしい子ども映画の系譜である。

ところで三平の住む家やおじさんの住む家には、腰の高さほどの黒白格子の海鼠塀があって珍しいなと思った。初めて見た。『有りがたうさん』と同じく伊豆下田のあたりだろうか。
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