トシオ88

眠狂四郎 人肌蜘蛛のトシオ88のレビュー・感想・評価

眠狂四郎 人肌蜘蛛(1968年製作の映画)
3.3
大映の経営悪化の中で撮影された眠狂四郎。市川雷蔵の顔色も病魔に侵されてか、常に暗く険しい。大映の全盛期の芸術作品のようなセットは殆どなく、どこぞの採石場と暗い地下牢、そして荒れ寺ばかり。そこに川津祐介と緑魔子のキ×ガイ兄妹が絡み、延々と陰鬱かつ単調な芝居が続く。若い寺田農は両目を抉られのたうち、常に鴉が画面を覆う。東映のエログロ路線の先奔りの作品と言えるかもしれない。円月殺法は一回しか使わず、残りは緑魔子の哄笑の甲高い声ばかり…。
作品を観た柴田錬三郎の苦渋に満ちた顔が容易に想像される。因みに音楽はあの渡辺宙明氏。あっ、宇宙戦艦ヤマトだ!と思いきや途中からマカロニウェスタンのようなメロディに変身!トゥーっ!となるタクト捌きには思わず苦笑😨あの眠狂四郎シリーズがこんな作風になってしまうのはやはり寂しい😔
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