TatsuyaAbe

紀子の食卓のTatsuyaAbeのレビュー・感想・評価

紀子の食卓(2005年製作の映画)
3.5
テンプレ的な家族を創れている気になっているが、全く家族一人一人の気持ちが分かっていなかった父・徹三。
そんな家にホームを感じられず、此処ではない心地の良い場所を探す娘・紀子。
全てがリアルではなく、自分自身にすら客観的な妹・ユカ。

血縁上は家族であっても誰一人が本質的には家族でない家族が、コインロッカーがホームだったのクミコが建てた、インターネット上の廃墟に迷い込み、虚構の家族を演じながら、それぞれのホーム=居場所を探す物語。

血縁上の家族や彼らの居る実家が、必ずしも子供にとって最も心地の良いホームでは無く、寧ろアウェイな空間に感じる気持ちにはかなり共感が持てたし、「家族とはこうあるべき」な風潮を壊そうとする意志が感じられた良い作品だった。

駅のホームから飛び降りて集団自殺する件で、劇中に出てきた新聞記事やセリフがプラット"フォーム"ではなくプラット"ホーム"と表現されていたのも、「家から踏み出す」「家を血で染める」と言ったようなメタファーに感じたが…深読みのしすぎか。
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