正面から撮る表情とセリフの妙で人間関係が丁寧に描かれていて心に深く残る。
印象に残ったのは
居酒屋で飲んだくれる周吉たち。
今にも通じる一見平和な親父たちの会話で戦争で自分たちの子供が何人死んだか、
という話題がカジュアルに話される。
現代とさほど変わらない光景なのに
今では考えられない話題だ。
ものすごく印象に残り
周吉たちの戦争はもう起こしたくないね、
という台詞に共感する。
もう一つは
周吉の子供たち、幸一や志げの冷酷に見える性格。
危篤の母の看病に実家に帰る時に
喪服を持っていこうと言い出したり
死後すぐに形見にこれをくれと
明るく話したり…
末っ子の京子が言う通り
こんな大人にはなりたくない、
と思ってしまう一方で
当時東京から広島は汽車で16時間
かかることや
紀子のいう通り東京で必死に生きるうちにだんだん家族を忘れてゆくリアルな姿が描かれてるなと納得する。