尾道から上京してきた両親を厄介に想う子たち。そんな中、ひとりやさしい義理の娘とのつながりを描く。
子らは世話をしない代わりに熱海の旅館に詰め込もうと画策し、受け手(両親)は有り難く思っているのも心のすれ違いが表れていて面白い。両親が早く帰ってくるともっとゆっくりしてきたらいいのにとか、嫌悪感がすごいし、反対に両親の人の良さが浮き彫りになる。
血の繋がり、家族の距離。小津作品は「こうありたい・こうあってほしい」というその時々の期待と「とはいえ、いざその想いが叶うと淋しく思ったり決断への迷いが生じたり、やめておけばよかったと逡巡する」というような選択の後悔を孕みながら生きている、という生らしい人間模様を如実に映している。
「そうかあ、おしまいかのう」