しんぴー

東京物語のしんぴーのネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

どこまでも日本人の本音と建前だなあと感じた。この時代の暮らしと言葉遣いは見てるだけで楽しい。

義理の娘である紀子さんが一番良くしてくれるという展開、なんか分かってしまうな。血が繋がっているからこそ、子どもは親のことを放っておけないと思って気を遣うし、仕事があって相手できないと申し訳なく思って、観光地で楽しんでもらおうと熱海に送り出す。

親も子どもたちには自分の生活があると知りつつ、厄介払いを受けたような気持ちになり、結局家に帰るかあという気持ちになる。

今よりも親と子の上下関係が明確な時代だとなおさらだよな。

一方で紀子さんはそもそも性格が良いのもあるが、直接の血の繋がりがないからこそ、こうすべき、こうあるべきという親子のしがらみから離れて、心から楽しんでもらおうとおもてなしができる、というのはあるんじゃないかな。

だから物質的には上等でなくとも、二人は紀子さんの六畳間でも十分に満足し、母親も紀子さんの狭いお家での寝泊まりが心を満たした。

それは本音で接してもらえたと感じたからじゃないか。