モカ

東京物語のモカのネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

初めて観る小津安二郎作品。いや、どうしよう…こんなに凄いのか…!!モノクロだしなぁと思ってて申し訳ございません!!

画面のレイアウトが常時美しすぎてヒエーってなったけど、演出も素晴らしいなあ。派手さは全くないのに魅せる魅せる。丁寧な日常芝居が堪能できてほんとに幸せでした。きっと、こういうのがずっと観たかったんだな。

最初は女性陣の紀子さんに対する会話のアンバランスさに「?」と思っていると、中盤でやっと関係性が分かる。性格やバックグラウンドも説明するでなくちょっとした仕草や台詞なんかで語っていて。
紀子さんがお義姉さんの電話に出る時のトーンの変化で地がどんな人かちょっとわかったり…
その無理したような笑顔が最後に崩れて本音を話し、周吉が紀子さんに「おとうさんは…」と呼びかけるので本気で泣いてしまった。最後の汽車の中での手仕草も本当によいですね…。

他好きなシーン
◎勇の祖母に対する振る舞い(自然でイイ)
◎お母さんが傘を忘れて、お父さんと紀子さんが見つけてくれる其々のシーン
◎お母さんの広島弁の「ありがとう」
◎お父さんの台詞「宿無しになってしまった」「おしまいかのう」と淡々と云うとこ(余計せつない)
◎泥酔の沼田さん、寝る服部さん
◎酩酊の父親に対する文句の言い方がリアルな長女
◎ハハキトクの報せでも、葬儀の席でも、先の話をする長女。居そう…
◎在りし日の東京と尾道の姿

戦後すぐの話なのに、今も古くないのは物事の表層ではなく核心をついてるからですね。60代の親を田舎に持つ上京者にはずっしり刺さってしまったな。決して説教臭くないがそう思わされる真実味があった。小津映画ほかにも観てみます。
モカ

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