自分にとっては完璧な映画。
メビウスの輪のような悪夢を感じさせる演出は、黙示録のラッパ吹きの引用で始まりと終わりを告げる。コジンスキーのサイケジャズな音楽と共に過ぎるあっという間の107分。
スタイリッシュな演出と、チフスやポーランドの抵抗と挫折の歴史。このコントラストが絶妙。
また、過去か未来かドッペルゲンガーか、その曖昧な演出には、ズラウスキーが最初から"肉体は魂を入れる器である"という中世思想を核にしていたことが窺える。
「ポゼッション」程の狂気はまだないにせよ、初期衝動あふれる錯乱的な映像はただひたすらにかっこいい。