夜の第三部分の作品情報・感想・評価

「夜の第三部分」に投稿された感想・評価

ロラン

ロランの感想・評価

2.5
初めて観た時は序盤の怒涛の展開から引き込まれたけど、こうして再見すると大部分は弛緩しているし、映像も荒いだけで平板。

とにかく編集のギミックに頼りきった映画で、カットが変わる度に主人公の服装が変わったり、一人の女へのオブセッションの物語というのも『去年マリエンバートで』を想起させる。ただ本作は、大部分が主人公の脳内で起こっている妄想の一言で説明できてしまうし、ラストもすべては主人公の見た夢だったと言わんばかりに冒頭に円環するので身も蓋もない。

画面奥の暗闇に殺された妻子が現れる演出も、これ見よがしに反復すれば、ひとつのアイデアを延々と見せられているようで驚きがない。ただ、主人公が覗き込んだ床穴の下で老婆がこちらを向いて横たわっているショットは不気味すぎて忘れられない。

ナチス占領下のポーランドが舞台なので、戦火の荒廃した街並みは映画の空気感に貢献している。劇伴も不穏さを煽っていた。クライマックスの病院内の場面はまさしく不条理で、まるで牢獄のように監禁された全裸の人々は脳裏に焼きついている。
チフス菌実験のためにシラミ培養の仕事に就く男の見る夢とうつつの錯綜体。時空間が乱接続していくところや事件の発端と結末が見えず宙吊り状態であるところはまさに悪夢そのもの
こういう明確に不条理な話も、嫌いじゃないけど、結構早い段階で、もう条理がないから不条理もないみたいなところまでいっちゃってたのかもしれないね。
意識朦朧というか、意志がはっきりしない人たちがすでにいっぱいいっぱいいるもんね。

出産のとこは衝撃だったけど、シラミがプキューッと膨れるとことか、嫌いじゃない。てか好き。
むしろ上質の不条理映画として愉しめた!そう、いつものテンポのよさがいきとる!
なんだこれは、、結局シラミか、、!?と思いましたがズラウスキー監督に興味をもった一作でした。なによりもポーランドの方は皆美しかった。ドッペルゲンガーの設定は非常に理解し難かったですが、結末へと向かうスピード感、絶望感は凄まじかったように思います。
2014.12.25 シアターイメージフォーラム(ポーランド映画祭2014)