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残侠 ZANKYOのmhのレビュー・感想・評価

残侠 ZANKYO(1999年製作の映画)
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視聴難易度の高い任侠映画。
オールスター超大作クラスのキャスティングなのになんでDVD化されないのかずっと謎だったんけど、途中の出入りで助太刀に駆けつけてくる団体がまずいのだとようやく把握。たしかにその団体が登場する任侠映画はみたことなかった。
原作は山平重樹「残侠 会津小鉄・図越利一の半生」
あきらかに図越利一をモデルにしているんだけど、
・実録ものはもう流行っていない。
・やりたいのは討ち入りのある古き良き任侠映画。
ということで、架空の侠客を生み出すに至ったのかな?
田岡一雄は神戸で、ほぼ同じ時間軸の京都で図越利一が売り出すので、東映やくざ映画でいえば「山口組三代目」「三代目襲名」あたりを押さえておくと余計楽しめる。
どちらも在日朝鮮人グループと敵対するために力を蓄えたみたいな側面があって、この映画に登場する在日朝鮮人グループの事務所には「革命」や「解放」などの横断幕がかかっているので共産党系のコミュニティ(のちの「朝鮮総連」?)とわかる。
図越利一と田岡一雄の出会いは1960年に入ってからとのことなのだけど、神戸と京都と比較的近い距離にふたりがいるのが面白い。
冒頭の侠客マナー講座も必見。「日本任侠道 激突篇」でも詳しくやってたけど、こっちはサラシにスルメを巻いてなかったな。
箸の持ち方で孤児であることを示したり、討ち入り前に橋を渡ったり、細部も気が利いていた。
「人生劇場 飛車角」のラストの坂だったり、「博徒斬り込み隊」でも見た気がする庭だったりして、東映やくざ映画のロケ地巡りみたいな側面もある。
ようするにもう何度目かになる東映やくざ映画の総括をまたやってくれているのだった。ただし、そのクオリティが高いためかなり見ごたえがある。
ただ、こっちは全盛期のそれを見ちゃってるからね。
鶴田浩二の大根役者っぷりや、陽気にしゃべると気持ち悪い健さんや、痩せすぎで晒姿が似合わない菅原文太が懐かしいね。
ラストは「あんたー!」と叫んだヒロインのフリーズフレームで、ええ、そこなの?とか思ってしまった。
目下のところすごい見たい任侠映画は「博徒七人」だけとなった。これは身体障碍者版「七人の侍」と聞いている。
DVDはもちろん、VHSにもなっておらず、数年に一度CS放送だけで見られるとのこと。
見たいー。(ググったら2021年8月にDVD化されてた! まじか!)
面白かった!
mh

mh