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少女たちの羅針盤のodyssのレビュー・感想・評価

少女たちの羅針盤(2010年製作の映画)
2.5
【推理ものじゃなく「ガラかめ」にすべきだった】

忽那汐里ちゃん目あてで見に行きました。

まず、この映画、ミステリーとして見るとあまりに薄くお粗末だと言わねばなりません。トリックや証拠の辻褄あわせで真犯人を指摘すりゃいいってもんじゃない。それに、この映画をミステリーと見るには演劇に打ち込む少女たちの描写が重すぎる。ミステリーは、内容をすべてミステリーの材料にするくらいでないと本来の味や凄みが出ません。それに、そもそもの殺人事件が起こるのが遅すぎる。いちおう外枠では殺人事件があったことは最初の辺りで暗示されているけれど、枠内の物語でそこに行くまでが長すぎ。

以上まとめると、この映画はミステリー失格。そば粉が1割しか入っていない蕎麦みたいなもの。

むしろ、演劇に打ち込む4人の少女の物語にしてしまったほうがはるかに充実した映画になったのではないか。要するにヒロインが4人いる「ガラスの仮面」ですね。4人の少女の性格、お互いの関係、それぞれの家庭環境をしっかり描写し、また途中で登場する演劇作品の数も少し増やして、彼女たちが一歩一歩日の当たる舞台に近づいていくストーリーの映画にしていたら、傑作になった可能性がかなりあったと思う。惜しい。

多分、原作がシロウトの書いた小説なので、監督や脚本家も困ったところがあったのだろうと推測します。こういう企画は難しいんでしょうね。映画化の話が持ち込まれたいきさつだとか、いちおう賞をとった原作を立てなきゃいけない事情だとかから、あんまりいじれないのかな。

40点で沢山かと思うけど、忽那汐里ちゃんに免じて10点オマケ(笑)。
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