Maoryu002

活きるのMaoryu002のレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
4.0
中国のある夫婦、フークイ(グォ・ヨウ)とチアチェン(コン・リー)が、国家政策に翻弄されながら、家族を支えて生きた1940年代から1960年代を描いた大河ドラマ。

チャン・イーモウ監督が中国の近代史を非常に小さな家族の視線で、壮大に描いた作品。

夫婦を演じる2人の庶民感が素晴らしい。特にボンボンのばくち打ちから、影絵という娯楽で生き抜く逞しさを見せ、老いて丸くなっていく小市民フークイを演じたグォ・ヨウが見事すぎた。

何よりも、これ一本で国共内戦から大躍進政策、文化大革命までを見ることができるんだから勉強になる。
特に1960年前後の様子は、飢えは描かれないものの、1930年代のスターリン政策にそっくりで、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を思い出した。

韓国が近代の自国批判的な映画を多く作ってる一方で、大躍進政策に息子を殺され、文化大革命に娘を奪われたのに、そこをぼやかして何となくハッピーエンドっぽく見せるところがかなり微妙。それでも本国で上映禁止になったってところもさすが中国。

これは全体主義と個人崇拝が浸透していく歴史でもあって、そんな国が増えている今、観る意義があるんじゃないかな。
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