クリーム

狂った一頁のクリームのレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
4.0
監督が、川端康成、横光利一らの協力を得て製作した無字幕のサイレント映画。様々な技法を駆使した日本初のアヴァンギャルド映画だそう。約100年前の映像が残っていた事が奇跡。貴重な作品となっています。
あらすじを読まないと解りにくいですが、強烈なインパクトの映像の破壊力は半端なく、古い映像が、不気味さを格上げしていて、心霊映像の様にも観えます。内容は、理解しなくても良いかな?くらいのモノですが、面白かったです。

舞台は、精神病院。元船員の老いた男は、自分の虐待で、精神に異常をきたした妻を見守るため、妻がいる精神病院に小間使いとして働いていた。 ある日、男の娘が結婚の報告を母にする為、病院にやって来る。疎遠だった父が働いている事を知り、動揺します。 彼女は自分の母が狂人である事を恋人に隠していました。



ネタバレ ↓



狂った様に踊り続ける女や、虚ろな顔の女、夫の幻覚を見る女、何かを叫び暴れる男達。古い映像が、まるでホラーの様に不気味で怖く映ります。病院内の廊下はまるで何かの映画でみた刑務所の様で、鉄格子がある部屋もありました。
字幕すらないので、想像で観るのですが、どうも現実と幻覚が入り交じり、男も次第に可笑しくなって行く様で、結果、ほぼ全て幻覚だったのかも知れないと思えました。

以下全て幻想だったのでは?と思う。

·娘の結婚を知った男は、娘の為に縁日の福引きで一等賞の箪笥を引き当てる。
·ある日、男は妻を病院から逃がそうと試みますが、妻は外の世界へ出る事を嫌がり、気付くと元の部屋にいます。
·何度も妻を連れだそうとしますが、失敗し、錯乱した男は病院の医師や狂人を殺します。
·ラストは、妻を連れ出す事に失敗した男は、狂人の顔に次々と能面を被せていくのでした。

殺したハズの医師は生きていたし、ラストも何も変わった様に見えません。恐らく、男も正気ではなく、入院してるのかな?とさえ思いました。
それにしても狂人達の演技が素晴らしく、恐怖の空間の演出がピカイチでした。この時代にこんなに攻めた作品が存在していたなんて、驚いたし、現在観れる事がホントに有難い。そんじょそこらのホラーより、全然怖い。観れて良かったです。
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