しーかず

狂った一頁のしーかずのレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
3.6
大正時代の映画ということで映像が色んな意味でもの凄い。奇抜なカメラワークも相まってかなりの不気味さを演出してるけど、そもそもモノクロの荒い映像は当時当たり前だっただろうし、昔の人がどういう気持ちで映画を観ていたのかすごく考えさせられる。ただ、予想に反して怖さというよりは切なさや心が痛くなるような要素が大きかった。主人公の男性が心を病んでしまった妻やに対して感じている自責の念や後悔、娘に対する負い目などが痛く描かれていて、日本初の前衛映画といわれている通りカメラワークや仕切りに当時する気が狂った踊り子など、少し不謹慎ながらも非常にアート性を意識した作品になってると思う。サイレント映画で現実と過去や幻想が錯綜しているのであらすじを見ないと理解出来ないことだらけではあったけど。ただ1時間ちょっとなのでしんどさは感じずに観れるし、表現の方で完成度の高い作品だと思う。
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