きゅうげん

ジェイソンX 13日の金曜日のきゅうげんのレビュー・感想・評価

ジェイソンX 13日の金曜日(2001年製作の映画)
3.9
移送直前の事故により氷づけにされてしまったジェイソンと主人公の女性科学者。四世紀半の時を経て、荒廃した地球を研究する教授と学生たちからなる調査隊に二人は発見される。
蘇生された主人公の忠告も虚しく、宇宙を舞台にジェイソンの殺戮がふたたび幕を開けるのだったーー。


サイバーパンクな防護服とか虫型ナノボットとか超巨大基板壁とか、SFデザインはフェティッシュくすぐられるものばかり。
コックピットのサイコロは完全に『スターウォーズ』だし、宇宙基地は完全に『エイリアン』だし、宇宙服は完全に『2001』だし、“ビーム転送”ネタは『スタートレック』だけどね。
ARゲームを応用してクリスタル・レイクを再現する陽動作戦は、“ジェイソンあるある”ギャグでありつつ『ソラリス』オマージュにもなっています。
それでいてテケテケ状態や串刺しスクリューなど悪趣味表現も冴えていてナイス。「自転車ってなに?」「マイクロソフト紛争の時はな……」という未来ギャップ芸もオーソドックス。

ただ強化アンドロイド・バトルは流石に、『ブレイド』『バイオハザード』あたりのエピゴーネン……というか劣化版だし、各登場人物のヘソ出しとかサマーニットとかのつんつるてんファッションは、やっぱりキチィよ。
(今またリバイバルしてるけど。1990年代〜2000年代の当時でさえ1970年代のリバイバル・ブームだったのに……)


またドラマについても、研究資金に目がくらんだ教授の悪行は冒頭の軍産複合体の失敗と重なるもので、やられ役に奥行きが生まれています。
科学が発展し外科手術や人体蘇生などが一般化した未来の歪な倫理観に関しても、ナノテクノロジーによりジェイソン復活というクライマックス最大最悪のしっぺ返しにもつながります。
流れ星となったジェイソンの行先には、新地球の湖畔で睦みあう若者がいて……というラストもイイね!

鑑賞前は「これ13金シリーズでやること???」と思っていましたが、終わってみればすっかり満腹。
それとオープニングのマッドサイエンティスト、すげぇクローネンバーグそっくりじゃん……と思ってたら、クローネンバーグ本人じゃん!!!