菩薩

スネーク・アイズの菩薩のレビュー・感想・評価

スネーク・アイズ(1993年製作の映画)
4.5
なんせあのマッダァンーナ…失礼、ネイティブが出ました、マドンナが映画にレイプされる!とたいそうな触れ込みが付いた作品であり、確かにマドンナは『ラストタンゴ・イン・パリ』よろしく撮影中に寝バックでレイプされてしまう訳だが、確かあのシーンがマジだったと大問題になったのは2013年くらいだったはず…?と、この時点で「フェラーラ、預言者なの…?」と驚嘆せざるを得ないつか、映画関係者の間では公然の事実として流布されていたのではないかなんて気がしてしまう。現実、劇中、劇中劇と3層構造で考えなくてはならず、なおかつ虚構が現実を侵食していくなかなか複雑なタイプの作品、フェラーラ自身が劇中で監督を演じるハーヴェイ・カイテルに投影され、ハーヴェイ・カイテルもまた劇中劇で主演を演じる役者に自らを投影する。リアルを追求するが為に「演技」を超えていく要請してしまう監督、そんな俳優に私生活を侵食されていく監督、確かに酒に酔ったシーンを撮るなら実際泥酔した姿にカメラを向ければこれが撮れる訳だし、ラリっているシーンを撮りたければ実際ラリっているところにカメラを向ければこれが撮れてしまう、それはレイプシーンだって同じ、だがそれは既にフィクションではないしそんな事をするわけにはいかない…が、そもそもドキュメンタリーとフィクションの境目とは?演技ではない真の人間としての姿とは何か…ともう考えるの辞めたくなるでしょ。マドンナはラジー賞常連のイメージしか無いが(全然観たことないけど)、このマドンナはよくこんな役引き受けたなってくらい身体張ってるし、流石におっぱいが超絶綺麗。ちなみに虚構が現実を超越してしまった悪い例(笑)として、『フィッツカラルド』撮影時のヴェルナー・ヘルツォークのインタビューが挿入される。そんなヘルツォークが後年デ・パルマの方の『スネーク・アイズ』で主演を務めたニコラス・ケイジを起用して『バッド・ルーテナント』をリメイクしたのは単なる偶然では無かろう。フェラーラはきっと「映画監督とは何か?」について苦悩していたんだと思う、ってか多分めちゃくちゃ頭良いんだと思う、この作品はちと俺一人の手には負えない…。
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