青二歳

映画女優の青二歳のレビュー・感想・評価

映画女優(1987年製作の映画)
4.1
吉永小百合が田中絹代を演じる…まぁ…どっちも触手が動かないが新藤兼人の"小説・田中絹代"なら映画史こぼれ話でも…という期待値で鑑賞。まさに大正から戦後までの映画史を描く映画。主役は吉永小百合の田中絹代ではなく菅原文太演じる溝口健二!新藤兼人やるな…!とニヤニヤ。

田中絹代の伯父役が常田富士男…日本昔ばなしにしか聞こえない台詞過多のノッケから、田中絹代の性生活とか…全くソソらないものもあるもんだ。
まさかの親に殴られたことないのにー!
と笑っていたら後半、溝口健二登場で市川崑・新藤兼人が好き勝手やり出す!ここからがハイライト。
菅原文太の口から、周辺の人物、過去の女(岸田今日子の京女。怖いね、ソソるね!)、田中絹代それぞれの立場から新藤兼人による溝口健二批評が重ねられている…!
溝口作品をひとつでも好む人にはオススメ。新藤兼人は溝口は田中絹代に片思いしてたと判じているが、今作ではメロドラマには仕立ていない。
親善大使のあと老醜と罵られたかつてのスター女優は落ち目の中、溝口の"西鶴一代女"で老いと向き合い、溝口もまた田中絹代の起用で戦後のスランプを切り抜けようと挑戦する。

ラストの終わらせ方は市川崑より確実に新藤兼人の意向。笑。ニャー!
青二歳

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