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快楽のzhenli13のレビュー・感想・評価

快楽(1952年製作の映画)
4.3
おおお。これはすごい。カメラの流れるような動線にある群像の蠢きに最初のダンスホールのシークエンスから見惚れた。建物外や窓や柵ごしからの長回し移動ショット、木漏れ日に溢れる田舎道を走る娼婦たちを乗せた馬車のシーンに溢れるルノワールのようないきいきとした喜び、そして主観ショットとその影を追う先にある衝撃的なラスト。『輪舞』ほど技巧的かつ様式化された構成ではないものの、説話的ナレーションは『輪舞』と同じく映画の外側からの入れ子構造をとる。ちょっと投げやりな低い声のナレーションが寧ろ優しく寄り添う感じなので、本作の「ごし」ショットは窃視的というよりも包み込むよう。物語どうこうよりも、ただただ流れるような包み込むようなこの映画を眺めていたいと思った。『快楽』というタイトルだけど『輪舞』の方がよっぽど快楽だと思う。あと列車の中でガーターの試着したらタダであげるという下世話な行商が娼婦たちにもみくちゃにされて叩き出されるのよかった。
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