ちーくん

木と市長と文化会館/または七つの偶然のちーくんのレビュー・感想・評価

3.8
エリック・ロメール作品。前半30分くらいまでの都会と田舎の対立話を草原や木などの緑で囲まれた中で語っているところは興味深くて面白かったんですが、そこからの政治談義が少し退屈に感じて中弛みしてしまったような気がしました。とはいえ本作はロメール作品の中では割と好きな部類で、教師が言っているこの風景こそが芸術、自然を破壊するなという気持ちも分かるし、市長が言っているこの街に劇場やプールがある文化会館を作って活性化させようという気持ちも分かる。理想としては両者の良いところを取って、できるだけ町の景観を壊さず木を中心とした緑のある自然な雰囲気を感じられる娯楽施設を建てるのが一番なんだけど、実際には両者が納得するような条件と了解を得ることはなかなか難しいことも事実ですしね。教師の娘さんと市長の話し合いは、娘さんの10歳にしてしっかりと芯を持った意見とそれに対応する市長も真面目に耳を傾けて答えていたのが微笑ましい光景ながらもこれが理想のディベートのような気がして見応えがありましたね。ロメール作品にしては割と興味の持てる会話劇と、自分が単純に緑の風景が好きなのもあってか結構好きなタイプの作品でした。
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