木と市長と文化会館/または七つの偶然の作品情報・感想・評価

木と市長と文化会館/または七つの偶然1992年製作の映画)

L'ARBRE, LE MAIRE ET LA MEDIATHEQUE OU LES SEPT HASARDS

製作国:

上映時間:111分

ジャンル:

3.6

「木と市長と文化会館/または七つの偶然」に投稿された感想・評価

とにかく喋りまくりだが、構成が天才的に上手い。
教師が建設予定地でひたすら市長や土建屋への文句を喋る章がダントツ良い。

カセットテープをがちゃがちゃ入れようとしてるシーンを面白く見られるのもスゴいね。
pika

pikaの感想・評価

4.5
超面白い!ロメールによる政治思想の教則映画のようだった。
個人の思想は右や左なんかのレッテルで一括にできるものではないし、時が経てば変化もすりゃごちゃまぜになってくる、みたいなことを教えてくれるというのか、そんな小難しいテーマなのに作り手の思想を反映させず娯楽作として満足させるってホント凄い。

社会問題や思想をガンガンべしゃりながら、小説家の彼女→市長→記者→校長の娘と、ドラマの魅力であるキャラクターの印象を演出で意図的に操作し、興味を誘導して政治的な思想を多角的に見せ、「あなたはどう思う?」みたいに会話に参加させるような、自問自答したくなる余韻を残す。

七つの偶然をアイコンにしてドラマに緩急を生むところも、センスが良いだけでなく小難しい話をわかりやすく理解を進める効果にもなってる。
思想というものの抽象性を提示したあとに、思想もなく討論する気もない一般人たちのリアルをモキュメンタリーの如く生々しく描き、言葉だけではイメージしにくい問題が具体性を帯びるようクローズアップしていく流れが秀逸。ホント頭良いロメール。

思想の面で賛否が生まれそうなところを娯楽的な満足感で〆る舵の取り方が鮮やかで、様々な印象をポンポン放り投げて新世代が全部掻っ攫っていくっつーまとめ方も秀逸だし、狐につままれたように終着するラストも良い。ロメールの熟練した技術がハンパない。
20年以上も前の映画だけど色褪せないテーマだし、複雑化していく世界や深刻化する社会問題を抱える現代にて、興味のない人へ少しでも問題提起をする力のある傑作。
tjZero

tjZeroの感想・評価

4.0
フランス北部の小さな村。
若き市長による文化会館建設計画を巡り、地元の校長、パリのジャーナリスト、小説家、村人に子どもたちまで、賛成・反対の立場から意見をぶつけ合う…。

…という粗筋は小難しそうだけど、実際の作品の印象は180度異なり、のんびり、ほんわか、ニコニコと楽しめちゃう。

エリック・ロメール監督作特有の、”風通しの良さ”のおかけだろうか。

会話を交わす登場人物の隣に、スッと相席させてもらうような自然な距離感。
キャラクターたちの関係性も、ベタベタもギスギスもしていないサラッとした空気が漂う。
スクリーンの中と観ているこちらの間も地続きというか、空気がつながっているような一体感、抜けの良さがある。

フィクションのはずなのに、名文家によるエッセイを味わっているかのような呑み込みやすさもある。ノン・ストレスで楽しめちゃう。

天才ミュージシャンが、路上でアドリブ演奏しちゃっているような軽やかさ。この肩の力の抜け具合が、ロメール作品の何よりの魅力。
基本劇映画なのに、街の人へのインタビューなどところどころドキュメンタリーへと接近していく。その二つの間を行き交いながら、最終的にたどり着くのがそこかよ!で嬉しいビックリ。ノーマン・ベイツばりに前のめる教師の狂気も良い。
MinKFJ

MinKFJの感想・評価

4.0
7つの偶然というか必然により
文化庁の予算も出て安泰にみえた凡庸な市長の文化施設構想がまんまと頓挫し、
誰も味方がいないかに思えた、美しい田園風景を守りたいエコロジスト校長の思惑がまんまと通るという、
奇跡というか希望というか。
文化施設自体に反対はしないけど、現実では現場ちゃんと見てない数字ゴリ推しハコモノ行政やら一体何年前の計画で道路造ってんのって時代遅れも甚だしい事態を見てきたので、
ほっほぅー♡
これはとても清々しく愉快なラスト。
使っていない建物をリノベして、市長の持つ広大な庭は市民に開放、いま在るものを有効活用したらいい、素晴らしい。

都会派小説家女史の歯に絹着せぬ持論展開とコケティッシュさ、フリーライター女史のクレバーさ、極め付けに校長の娘10歳!の長けた交渉術!ロメールの映画に出てくる女性たちのなんと魅力的なことか。頑張ろ…
緑雨

緑雨の感想・評価

3.5
ファーストカットは風に揺れる大木。何の気なしに画面に捉えられるだけなのだが、何故かとても印象的で、なるほどタイトルはこういうことかと一瞬で結びつく。

その後は延々とダイアログが続く。というか、ほとんどは互いに言いたいこと言いっ放しで実質的にはモノローグの応酬。
ちゃんと会話になっていると感じさせられたのは、市長の恋人(アリエル・ドンバール)と雑誌記者(クレマンティーヌ・アムルー)の環境破壊に関する議論と、市長が校長の娘に諭される件りくらい。この咬み合わない主張の応酬がいかにもフランスらしいなという感じ。
それなりに深刻なはずの話題でも、長閑な空気が終始流れる。そして最後にはどさくさ紛れのようなミュージカル仕立てで締めくくられるあたり、時代の大らかさを感じてしまう。
外は雨

外は雨の感想・評価

3.3
エリック・ロメールの会話劇。ほんとーにみんなもーとめどなくよく喋ってて、しかも、内容が政治的なお話だったりもして、つい、ちょっと、眠くなるw でも立派に行動する少女の登場によりシャキーンと復活します。軽やかな風刺喜劇でした。

住民との対立とか、立ち上がる反対運動とか、都会暮らしのブルジョワ市長の弾劾とか、そんな熱苦しさは一切ありませんw そういうところがなんかいいです。
acott

acottの感想・評価

3.8
こんな文化政策をテーマにした映画があるのか?!とタイトルからして気になってた映画。ロメールらしい会話劇だった。
タイトルの通り、美観の一翼を担う大きな木がある田舎町に新市長が文化会館を建てようとするお話。恋人である小説家は都会人で意見が食い違うけど、対話は欠かさない。
そして景観の美しいこの町にハコモノなど要らん!あの木を切るな!と息巻く教師が現れる。まだ小さい彼の娘が市長と対話するシーンがめちゃめちゃ良かった。
「もし〇〇が××でなかったら」という逆説的な章題が「7つの偶然」になってるんだな。
他社の言葉に耳を傾ける、という行為の尊さを感じるいい映画だった。
kumi

kumiの感想・評価

3.5
自然豊かなフランスの田舎町に
社会派の市長が文化会館を設立すると言い出した。

村人たちのためというより
いずれパリの政界進出のための足がかり、
己の軌跡を残すためのいう目論見もある。

それに対して村の小学校教諭は大激怒し
建設に関して様々な人が動き論じる。

結局のところ建設計画の話はしぼみ
もとの広大な土地で村人との憩いの場になるのだけれど、
教諭役のファブリス・ルキーニは終始いつもの
身振り手振りと口調で全部を説明してくれるので
わかりやすい。

あとこの作品とは直接関係ないけれど、
第4章でのブランディーヌ・ルノワールの部屋に
バルテュスのポスターが飾られていて
「あぁ~ ロメールが『クレールの膝』とかの
作品つくるわけだわ~」と思った
粉雪

粉雪の感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

畳み掛けるようなフランス語の会話がまるで子守唄のように聞こえて、途中物凄い眠気に襲われたが、そこを乗り越えると面白くなった。
7つの偶然が重なって、小さな村の政治がちょっと変わるお話だが、フランス人は本当に政治好きだなぁ。政治の会話もよくするし、政治家を皮肉るテレビ番組もある。その会話をのぞき見しているみたいで面白かった。
結局、校長の娘の案が通ったことになるのかな?
一番嫌いなキャラはその娘の校長さん。口先ばかりでいかにも都会から田舎にやって来た感じ。
彼が全く役に立ってないのに、娘がしっかりしていて面白かった。子供の話をきちんと聞いて討論する市長もいい。これで本当に村が良くなればいいんだけど。
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