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西部戦線異状なしのGTのネタバレレビュー・内容・結末

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

第一次世界大戦の西部戦線を舞台にした映画。レマルクの原作小説読了済。
まず、これが撮影されたのが1930年というのにビビる。二次大戦が起こる前、一次大戦の約十年後という超大昔の映画だ。
原作の方は、どんよりとした陰鬱さというか湿っぽい嫌な感じが始終続いていた印象(あくまで個人的な感想だけど)だが、こちらの映画は割とカラッとしているというか陽気な部分も多分に持ち合わせている。例えば野戦病院の描写なんかは、原作だと目を覆いたくなるような悲惨さで、腐った肉の匂いがこちらまで届いてきそうなほどの地獄絵図だったのだが、この映画では残念ながら(?)そこまで容赦のない描き方はしていない。尤も悲惨であることは変わりないが。
現代の戦争モノと比べてしまうと、どうしても面白みには欠ける。劇的な人間ドラマなんかはなく、音楽もないため淡白な感じ。原作を読んだ時には、そんな印象は受けなかったしむしろ物凄く濃い内容だと思ったのだが、映画だと主人公の内面が描きづらいため、出来事だけを並べるとどうしても退屈になってしまうのは否めないか。
クライマックス近くは、結構すき。戦場のことを知らない老人たちの描く非現実的な作戦や、何も知らない子供たちを美辞麗句で焚きつける教師たちに対して、現実を知っているポールは冷淡にあしらう。「生きるか死ぬか。ただそれだけだ。」ポールの死に様は実にあっけない。この映画の最後も、実にあっけない。だが結局、戦争における死とはそういうものなのかもしれない。
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