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西部戦線異状なしのmmsrのネタバレレビュー・内容・結末

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画では具体的な地名とか日付とかはほぼ出てこないので、西部戦線のどの辺りでどの時点のものを描いているのかはっきりと分からないが、それはまあ話の上では全く重要ではないのでしょう。

白黒映画なので視覚的な生々しさはあまりないが、無茶苦茶に砲撃されている平地を一斉突撃していくとか、砲声で気が狂って塹壕を飛び出して撃たれてしまうとか、病院で自分の足がなくなっていることに気がついて悲痛な叫びを上げるとか、見ていて十分辛い。
自分で刺し殺してしまった敵のフランス兵の家族の写真を見つけ、死体に泣いて謝るところも辛い。
死線を生き延びてきた主人公が最後あっ、という間もなく一瞬で射殺されTHE ENDになるのも辛い。

戦争が始まった原因は何なんだと兵士たちが雑談しているシーンで、誰かが誰かを侮辱したからとか、皇帝の名誉のためとか、資産家の金のためとか色々言っているが、結局そんなの俺には関係ないと愚痴っぽく言い放つところがなんとも虚しい感じ。

束の間の休暇で地元に帰還すると、昔愛国心を煽って自分を戦に向かわせた先生が相変わらず雄弁を振るっているし、戦場のありのままを話せばいずれ同じ目に遭うであろう後輩たちから臆病者と言われるし、全く報われない。

この内容を1930年に制作しているのだからすごい。(アメリカだから作れたのかもしれない...)
しかし、この映画の公開時点では世界大戦というものは過去の出来事でしかないのだが、それから10年も経たないうちにこれ以上に凄惨なことになるのを知っているから尚更やるせないですね。
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