けーはち

デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
イラン・イラク戦争のさなか白亜のイラク大統領宮殿に呼び出された一介の軍人ラティフ・ヤヒア。彼に課せられた任務は顔貌のよく似た大統領の放蕩息子ウダイ・フセインの影武者だった。

リー・タマホリ監督によるベルギー製作映画。ヨーロッパ俳優によるコスプレ感は若干あるものの、ドミニク・クーパー演じる実直な影武者主人公と退廃極めた狂気のプリンスの対照的な1人2役が見事な佳作。ドラッグ、レイプ、バイオレンスのオンパレードな狂乱地獄変が独裁国家の闇を描く。

映画原作となる影武者本人の自伝には疑義があるらしく、さらにクライマックスの事実に基づく事件も実際はありえない映画的な盛り上がりを企図してはいるのだが、放蕩息子の暴虐は誇張はさほどなくおおむね事実に基づくのだから恐ろしい。