けーはち

それでも夜は明けるのけーはちのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.7
音楽家として演奏旅行の最中、薬を盛られ囚われ南部に売り飛ばされ、12年間奴隷生活した北部生まれの自由黒人ソロモン(キウェテル・イジョフォー)を主人公にした歴史ドラマ。奴隷制が悪なんて今更言う必要もないが、本作の場合、割と良い生まれの自由黒人が奴隷に突如転落する落差が辛い。白人の使用人に逆恨みされて吊られかける場面で、主人が駆けつけるまで縄は解かれず首がじりじり締まりそうになるのを爪先立ちで耐え続ける長回しカットがあり、その背景では同じ黒人奴隷が無関心に各自の仕事をしているのが印象的。無関心とはこういう事だぜ、という鮮烈な画だ。陰惨なテーマなんだけど、ブラピが製作に関わっており、ファスベンダー、カンバーバッチが肩を並べて出演する豪華さに驚く。さらにはブラピ自身がちゃっかり主人公を助けるカッコ良い旅人の役で出て来る自己顕示欲は、彼ほどのスターだから当たり前にせよ、ちょっと笑っちゃう。ばっちりその年のオスカーも獲っているしね。