くろきつ

コップランドのくろきつのレビュー・感想・評価

コップランド(1997年製作の映画)
4.1
郊外にある警官の街ギャリソンで隠された警察内部の腐敗に立ち向かう片耳が聞こえない保安官を描いた刑事サスペンススリラー。

通称「コップランド」と呼ばれるNY市警の警察の多くが暮らす郊外の街ギャリソン。この街の保安官のフレディはNY警察に憧れ続けているが片耳が聞こえないせいでその夢が叶うことはなかった。そんな中でこの街を作った功労者レイが人を殺してしまった義理の息子の警官を自殺したように見せかけていることを知る。始めは見て見ぬふりをしていたフレディだったが、フレディのもとに隠蔽を嗅ぎつけている内部調査局のモーが現れたことでフレディの正義の心が動き出す…。という話。警察の街という特異な環境下で起こる緊張感のある物語。シルヴェスター・スタローンがいつもの筋肉質な体を封印して悲壮感漂う静かな保安官を演じている。公開当時のポスタービジュアルには「激突!スタローンVSデ・ニーロ」と書かれているがこれが中々の大嘘。ロバート・デ・ニーロはゲスト枠的な感じの登場の仕方だし、その上完全にスタローンの仲間。本当のキャッチコピーはフレディの友人であり敵のレイを演じたのはハーヴェイ・カイテルなので「激突!スタローンvsカイテル」になるはず。でも当時はきっとデ・ニーロの方が日本で人気だったのだろうから仕方ないのかもしれない。内容はアクションスリラーの書いているところもあるがそんなことはなくて、手に汗握る硬派なサスペンススリラーだった。スタローンの心に悔しさを秘めて諦めまでも感じている保安官の演技はとてもよかった。当時ならアカデミー賞を取っていてもおかしくないような出来だった。でも少し短すぎるような気もした。フレディの正義の心が動き出すところがあっさりな気もするしクライマックスももう少しオリジナリティを出せたと思うからやっぱりもう少し登場人物の心情を丁寧に描いていたらもっと評価は高かっただろうしアカデミー賞もノミネートはできたと思う。内容は硬派なサスペンスなのに展開はアクション映画並みなのが評価がそこそこになってしまっている原因だと思った。
くろきつ

くろきつ