Ryoma

カルメンという名の女のRyomaのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
4.3
物語世界の中を生きる誰かが、他の誰かを撃つためだけに、“バンッ”と引き金を引くのではない。物語世界を管轄する“人形師”みたいな存在が、物語世界の外側から、物語世界の内側をかろうじて生きている、傀儡人形の如き人間たちに適時指令を送り、結果“バンッ”と引き金が引かれ、誰が倒れたり、身悶えしたりするのだ。このとき“バンッ”という音と、“誰かが誰かを撃った”という事実が、物語世界の範疇を脱して、“こちら側の感覚”へ、ダイレクトに到達し、更には“こちら側の感覚”を強く揺さぶって、惑わしてくる。この剥き出しの、ヒリヒリする感覚の、交感……おれは大好きだ。“ポストモダン銃撃”と呼びたいね。ゴダール『ウイークエンド』のラストの銃撃。鈴木清順『殺しの烙印』で終始繰り広げられる、忘れ難いあの銃撃……音楽だ!!!
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