シカゴに育ったトム(ジェームズ・キャグニー)とマット(エドワーズ・ウッズ)はギャングとなり、酒の密売や殺人に手を染める。トムは善良な弟のマイク(ドナルド・クック)と仲たがいするが、勢力争いの末に傷き兄弟は和解する。しかし、ギャングの世界に平穏は訪れなかった。
90年も前の作品ということで、音声や映像の粗さは目立つが、なかなか見ごたえのある作品だった。
まずは、子供の頃の小さな出来事を繋いで、トムという普通の若者を使って当時の生活環境を見せる。
そこは父親の暴力や街の犯罪と隣り合わせだ。中途半端な同情や、厳しい体罰じゃ何も解決しない。
そんな環境や習慣によって、特定の誰かではない “民衆の敵” が世にはびこる。当時の社会問題をアクションとサスペンスの中で描いていて、なかなか説得力がある。
土砂降りの中、不敵な笑みをたたえたトムが超不気味で、ジェームズ・キャグニーをトップスターにのし上げた名場面だろう。
そして、ラストもけっこう衝撃的。
きっと温和な弟マイクも怒りと復讐に燃えて暴力の世界に走ったんじゃないだろうか。