TOMJFK

心のTOMJFKのレビュー・感想・評価

(1973年製作の映画)
4.3
夏目漱石の「こころ」の心理描写を割と忠実に描いている。
肝心要の女優は杏梨という。
この人、ネットで検索してもほとんど情報が無い。DVDパッケージには「新人」とだけある。
ただ映画では魅力的だった。
しかし自分が中高生の時に原作を読んでイメージしていた人物像は、こういうフェロモンの肉感的で、何を考えてるかわからないミステリアスで無口な人物ではなく、もっとさばさばしていて素直で明るいおしゃべりな女性だった。

映画では主人公役の松橋登も、清潔感と品があり、端正な顔立ちで良かったし、友人役の辻萬長も筋肉質で実直で、原作そのものズバリの感じで良かった。

そして何より意味深な表情と態度を見せる、まるで全てを見通しているかのような乙羽信子が不気味だった。
これらの表現は監督が優秀だったのだろう。
ただラストが唐突な終わり方だった。
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